2017年03月03日

宮沢賢治「永訣の朝」


これまで更新してきたケロログのポッドキャストが突然使用できなくなったので
シーサーブログに朗読ポッドキャストをお引越し致しました。
不定期配信ですがこれからも朗読ポッドキャストをお楽しみ頂ければ嬉しいです。

今日の朗読は宮沢賢治「永訣の朝」。。
「春と修羅」に収められているこの詩は有名ですが、
「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」をあわせて三部作と呼ばれているのをご存知ですか?
今日から3回に渡ってこの三つの詩を配信します。
「修羅を歩いている・・」という賢治の思いに触れてみて下さい。
最愛の妹とし子の死を目前にした賢治の想いが綴られたこれら三つの作品を読んでいると、胸が熱くなってしまいます。
『永訣の朝』    宮沢賢治

けふのうちに
とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ
みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ
(あめゆじゆとてちてけんじゃ)
うすあかるくいっさう陰惨な雲から
みぞれはびちよびちよふつてくる
(あめゆじゆとてちてけんじや)
青い蓴菜のもやうのついた
これらふたつのかけた陶椀に  
おまへがたべるあめゆきをとらうとして
わたしはまがつたてつぽうだまのやうに
このくらいみぞれのなかに飛びだした
(あめゆじゆとてちてけんじゃ)
蒼鉛いろの暗い雲から
みぞれはびちよびちよ沈んでくる
ああとし子
死ぬといふいまごろになつて
わたくしをいつしやうあかるくするために
こんなさつぱりした雪のひとわんを
おまへはわたくしにたのんだのだ
ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまつすぐにすすんでいくから
(あめゆじゆとてちてけんじゃ)
はげしいはげしい熱やあえぎのあひだから
おまへはわたくしにたのんだのだ
銀河や太陽、気圏などとよばれたせかいの
そらからおちた雪のさいごのひとわんを……
…ふたきれのみかげせきざいに
みぞれはさびしくたまつてゐる
わたくしはそのうへにあぶなくたち
雪と水とのまつしろな二相系をたもち   
すきとほるつめたい雫にみちた
このつややかな松のえだから
わたくしのやさしいいもうとの
さいごのたべものをもらつていかう
わたしたちがいつしよにそだつてきたあひだ
みなれたちやわんのこの藍のもやうにも
もうけふおまへはわかれてしまふ
(Ora Orade Shitori egumo)
ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ
あああのとざされた病室の
くらいびやうぶやかやのなかに
やさしくあおじろく燃えてゐる
わたしのけなげないもうとよ
この雪はどこをえらばうにも
あんまりどこもまっしろなのだ
あんなおそろしいみだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ
(うまれでくるたてこんどはこたにわりやのごとばかりでくるしまなあよにうまれてくる)
おまえがたべるこのふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが天上のアイスクリームになって
おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ


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posted by mika at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 宮沢賢治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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