2017年03月07日

宮沢賢治「松の針」


今日の朗読は、第一回目に配信した「永訣の朝」に続き、妹とし子の死に際し書かれた連作となっている作品「松の針」です。

「ああいい さつぱりした  まるで林のながさ来たよだ(林の中に来たようだ)」・・・
とさっぱりした表情をするとし子。。
そんなとし子を見て「私に一緒に行けとたのんでくれ・・・」と哀願する賢治・・。
「永訣の朝」に続き、死に向かっていくとし子ととし子を見守る賢治の気持ちがせつない詩です。

『松の針』

さつきのみぞれをとつてきた
あのきれいな松のえだだよ
おお おまへはまるでとびつくやうに
そのみどりの葉にあつい頬をあてる
そんな植物性の青い針のなかに
はげしく頬を刺させることは
むさぼるやうにさへすることは
どんなにわたくしたちをおどろかすことか
そんなにまでもおまへは林へ行きたかつたのだ
おまへがあんなにねつに燃され
あせやいたみでもだえてゐるとき
わたくしは日のてるとこでたのしくはたらいたり
ほかのひとのことをかんがへながら森をあるいてゐた

(ああいい さつぱりした 
まるで林のながさ来たよだ)

鳥のやうに栗鼠のやうに
おまへは林をしたつてゐた
どんなにわたくしがうらやましかつたらう
ああけふのうちにとほくへさらうとするいもうとよ
ほんたうにおまへはひとりでいかうとするか
わたくしにいつしよに行けとたのんでくれ
泣いてわたくしにさう言つてくれ

おまへの頬の けれども
なんといふけふのうつくしさよ
わたくしは緑のかやのうへにも
この新鮮な松のえだをおかう
いまに雫もおちるだらうし
そら
さわやかな  
terpentine(ターペンテイン)の匂もするだらう

terpentine(ターペンテイン)=松やに 

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posted by mika at 23:12| Comment(0) | 宮沢賢治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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